消防計画と業務継続計画(BCP)の違いとその重要性
- 消防計画とは
消防法第8条に基づいて防火管理者が作成する消防計画は、火災の予防や発生時の被害を最小限に抑えるための対策をまとめたものです。この計画には、① 防火管理の業務を定める。②避難や救助活動のための消防訓練の実施時期や回数を定める。③消防用設備の点検の種別や点検時期を定め、その結果を消防署に報告する。④火気の使用・取り扱いの監督や防火対象物の人員管理などを記載します。また、大規模な対象物の場合、この計画には大規模地震への対策も含まれます。しかし、消防法に基づいて作成された計画が本当に機能しているでしょうか?実際に使える計画にするためには、詳細なマニュアル化、徹底した行動要領の訓練が必要です。地震等の災害についても同様に、マニュアル化し訓練を通じて行動を浸透させる必要があります。これがあって初めて良い消防計画(消防防災計画)となるのです。 ただし、消防計画は火災等の予防対策と初動対応に重点を置いています。災害発生後の対応の取り決めは含まれていません。災害発生後の復興を計画するのが業務継続計画(BCP)です。
- 業務継続計画(BCP)とは
BCP(Business Continuity Plan)は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを契機に、金融機関の業務継続を求める動きが広まったことに始まります。日本では、2004年の中越地震や2007年の新潟県中越沖地震などで工場が被災し、BCPの策定が進められるようになりました。 2021年には、厚生労働省が介護サービスの安定的・継続的提供の重要性を強調し、介護施設・事業所におけるBCPの作成を支援しました。そして、2024年4月からBCPの策定が義務づけられました。 BCPは、大規模な地震等により利用可能な資源が制限される中で、応急業務や業務継続の優先度の高い業務(非常時優先業務)を特定し、それに必要な資源の確保、指揮命令系統の明確化などを図ります。これにより、適切な業務執行を可能にする計画です